「目の中にコンタクトレンズを入れて視力を回復する」という治療法がメジャーになり、多くの人が裸眼の快適な生活を手に入れています。
その眼内レンズについて調べていると、「ICL(アイシーエル)」という言葉のほかに、「IPCL(アイピーシーエル)」という似たような言葉を見かけたことはありませんか?
「パクリなの?」「どっちが安全なの?」と疑問に思うのも無理はありません。
結論から言いますと、どちらも「目の中にレンズを入れる(有水晶体眼内レンズ)」という仕組みは全く同じです。ですが、作っているメーカーやレンズの素材、そして「老眼に対応できるかどうか」といった決定的な違いがあります。
この記事では、ICLとIPCLの違いを一目でわかるように比較し、それぞれのメリット・デメリット、そして「あなたはどちらを選ぶべきか」について、プロの視点からズバリお答えいたします。
まずは基本!ICLとIPCLってそもそも何?
まずは、それぞれのレンズの生まれや特徴を簡単におさらいしておきましょう。
ICL(アイシーエル)とは?
ICLは、アメリカの「STAAR Surgical(スター・サージカル)社」というメーカーが開発した眼内レンズです。
正式名称を「Implantable Collamer Lens」と言います。世界中で最も広く使われており、日本でも厚生労働省から正式に承認を受けている、実績と信頼の厚いレンズです。日本では「眼内コンタクトレンズ=ICL」と代名詞のように呼ばれていますね。
IPCL(アイピーシーエル)とは?
一方のIPCLは、インドの「Care Group(ケア・グループ)社」というメーカーが開発した眼内レンズです。
正式名称は「Implantable Phakic Contact Lens」と言います。ICLに比べて後から登場したレンズですが、ヨーロッパの厳しい安全基準(CEマーク)をクリアしており、世界中で徐々に普及が進んでいます。
日本ではまだ厚生労働省の承認は下りていませんが(未承認医療機器)、自由診療として多くの眼科で安全に取り扱われています。
「ICL」はアメリカ製、「IPCL」はインド製の眼内レンズです。仕組みは同じですが、メーカーが異なるため製品名が違います。「サランラップ」と「クレラップ」のような関係性をイメージしてもらうと分かりやすいかもしれません。
【比較表】ICLとIPCLの決定的な違いを一目でチェック!
それでは、具体的に何が違うのか、わかりやすく表にまとめて比較してみましょう。
| 比較項目 | ICL(スターサージカル社) | IPCL(ケアグループ社) |
|---|---|---|
| 日本での承認 | 厚生労働省 承認済 | 未承認(自由診療で使用可) |
| レンズの素材 | コラマー(コラーゲン含有) | ハイブリッドアクリル |
| 老眼への対応 | 不可(単焦点のみ) | 可能(多焦点レンズあり) |
| 近視・遠視の矯正範囲 | 近視:広い / 遠視:中程度 | 非常に広い(最強度近視・遠視にも対応) |
| 乱視への対応 | 対応(カスタマイズに限界あり) | より細かいカスタマイズが可能 |
| レンズの穴の数 | 中央に1つ(ホールICL) | 中央に1つ+周辺に複数 |
| 費用の目安(両眼) | 約40万〜70万円 | 約50万〜80万円(多焦点は高額) |
最大の違いは「老眼(手元の見えにくさ)」に対応できるか!
上の表を見ていただくとわかりますが、ICLとIPCLの最も決定的な違いは「老眼治療ができるかどうか」です。
ICLは「単焦点(遠くか近く、どちらか一つ)」
現在のICLは、ピントが合う距離が1つの「単焦点レンズ」しかありません。
そのため、近視を治して「遠く」がバッチリ見えるように設定すると、40代後半以降に老眼が始まった時、「手元のスマホや新聞が見えにくい」という状態になります。遠くは裸眼で見えますが、手元を見る時は「老眼鏡」が必要になるわけです。
IPCLは「多焦点(遠くも近くも見える)」レンズがある!
ここがIPCLの最大の強みです!IPCLには、1つのレンズの中に遠く用と近く用のピントが同心円状に配置された「多焦点(老眼対応)レンズ」が存在します。
つまり、40代〜50代の方で「近視も治したいけど、最近スマホの文字も見えづらくて…」という方がIPCLの多焦点レンズを入れれば、「遠くの景色も、手元のスマホも、どちらも裸眼で見えるようになる」という夢のような治療が可能なんです。
40代以上で「老眼鏡を使いたくない!」という方にとって、老眼治療ができる『IPCL(多焦点)』は非常に魅力的な選択肢となります。
「矯正できる範囲の広さ」もIPCLの強み
ICLは非常に素晴らしいレンズですが、既製品のラインナップに限界があり、例えば「とんでもなく強い遠視」や「特殊な強い乱視」の方の場合、「あなたの目に合う度数のレンズがありません」とお断りせざるを得ないケースがあります。
それに対して、IPCLは度数のカバー範囲がめちゃくちゃ広いんです。
「最強度」と呼ばれるレベルの近視や遠視、そして乱視に対しても、患者様の目のデータに合わせて1ミリ単位で細かくオーダーメイドで作成することができます。
過去にICLの適応検査で「度数が強すぎて作れない」と断られてしまった方でも、IPCLなら手術ができるケースは多々あります。
安全性や素材の違いは?
「インド製って聞いて、ちょっと安全性が心配になった…」という患者様もいらっしゃいますよね。その点についても解説します。
レンズの素材の違い
ICLは「コラマー」というコラーゲンを含んだ特殊な親水性素材で作られており、非常に柔らかく、生体適合性(体との相性)が抜群に良いのが特徴です。長年の実績から、安全性は折り紙付きです。
一方、IPCLは「ハイブリッドアクリル」という素材で作られています。こちらも白内障手術の眼内レンズなどで長年使われてきた実績のある素材であり、安全性は高く、目の中で拒絶反応を起こすことは基本的にはありません。
ただ、柔らかさという点ではICLのコラマー素材に少し軍配が上がるかな、というのが現場の医師たちの一般的な評価です。
白内障・緑内障リスクへの対策(レンズの穴)
目の中の水の循環を保ち、緑内障などのリスクを防ぐための「穴(ホール)」は両方のレンズに開いています。
ICLは中央に1つですが、IPCLは中央に加えて周辺部にも複数の小さな穴が開けられており、より効率的に水の循環ができるよう設計の工夫がされています。
どちらのレンズも安全性は非常に高いレベルで確立されています。IPCLは日本では未承認ですが、ヨーロッパでは安全基準を満たしており、多くの眼科専門医が安全性を認めて採用しています。
費用・価格の違い
費用については、クリニックによって設定が異なりますが、一般的な相場としては以下のようになります。
- ICL(単焦点のみ):約40万〜70万円
- IPCL(単焦点):約40万〜60万円(ICLと同等か、わずかに安いことが多いです)
- IPCL(多焦点・老眼対応):約60万〜80万円
IPCLで「老眼対応(多焦点)」のレンズをオーダーメイドする場合、レンズ自体の価格が高くなるため、トータルの手術費用もICLに比べて10万〜20万円ほど高くなるケースが多いです。
しかし、将来的に老眼鏡を複数買い替える手間や費用を考えれば、投資する価値は十分にあると言えます。
結論:私にはどっちが合ってる?現役職員のアドバイス
ここまで比較してきた特徴を踏まえて、「結局どっちを選べばいいの?」という疑問に、現場目線でズバリお答えします。
ICLを選んだ方がいい人
- 20代〜30代で、まだ老眼の心配が全くない方
- 「厚生労働省の承認」という安心感・実績を一番に重視したい方
- 通常の近視や乱視で、ICLの度数範囲に収まる方
若い方や、特別な理由がない限りは、世界中で最も実績が長く、日本の厚労省が承認している「ICL」を選んでおくのが一番王道で安心な選択です。
IPCLを選んだ方がいい人
- 40代〜50代で、「遠くの視力」だけでなく「老眼」も同時に治したい方
- ICLの適応検査で「近視・遠視・乱視が強すぎてレンズが作れない」と断られた方
老眼鏡のお世話になりたくないミドル世代の方や、極度の屈折異常を抱えている方にとって、IPCLはまさに救世主となるレンズです。
まとめ:まずは適応検査で自分の目を知ることから!
ICLとIPCLの違いについて、詳しくお話ししてまいりました。
名前は似ていますが、「安心・実績のICL」と「老眼や強度数にも対応できる柔軟なIPCL」というように、それぞれに素晴らしい強みがあります。
ご自身がどちらに向いているのかは、年齢や現在の目の状態(近視・乱視の度合い、老眼の進行度など)によって大きく変わります。
インターネット上で悩んでいても、ご自身の目の正確なデータがないと結論は出せません。
まずは、両方のレンズを取り扱っているクリニックの「無料適応検査」に足を運んでみてください。
精密な検査を行い、経験豊富な医師や私たちスタッフが、「あなたの目にはICLが良いか、IPCLの多焦点が良いか」を、将来のライフスタイルも見据えて一緒にじっくりと考えさせていただきます。
快適な裸眼ライフに向けて、どうぞお気軽にご相談にいらしてくださいね!


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