ICLについて現役クリニック職員が徹底解説!

ICL

✍️ この記事の執筆者:現役ICLクリニック職員

日々クリニックにて、目に関するご相談や、手術前後の患者様のサポートを担当している現場スタッフです。
「ICLに興味があるけれど不安」「レーシックとどちらが良いのか迷っている」といった皆様の疑問に対し、メリットだけでなくデメリットも含めて、現場の視点から丁寧かつ誠実にお答えいたします。

「朝起きてすぐに時計の文字がはっきりと見える生活を送りたい」「コンタクトレンズの着脱や、メガネの煩わしさから解放されたい」
そのように考え、視力回復治療をご検討される方が近年非常に増えております。

そのような中、著名人やインフルエンサーの方が手術を受けたことを公表し、大きな注目を集めているのが「ICL(アイシーエル)」です。
名前を見聞きする機会は増えたものの、「目の中にレンズを入れると聞いて少し怖い」「具体的な仕組みや費用がわからない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、現役のクリニック職員としての知見を交えながら、ICLの基本的な仕組みからメリット・デメリット、レーシックとの違いについて詳しく解説いたします。

そもそもICLとは?「永久コンタクトレンズ」と呼ばれる理由

ICLとは「Implantable Collamer Lens(インプランタブル・コラマー・レンズ)」の略称であり、日本語では「眼内コンタクトレンズ」と呼ばれています。

一言で申し上げますと、「目の中に、患者様お一人おひとりに合わせた小さなレンズを挿入し、視力を矯正する治療法」です。

普段お使いのソフトコンタクトレンズは角膜(黒目)の表面に乗せて使用しますが、ICLは角膜と虹彩(茶目)の間にある「後房(こうぼう)」と呼ばれるごくわずかな隙間にレンズを挿入し、固定します。
一度挿入してしまえば、毎日の着脱や洗浄といったお手入れは一切不要となります。そのため、「永久コンタクトレンズ」と表現されることもあります。

POINT 1

ICLは「目の中に挿入するコンタクトレンズ」です。毎日の面倒なケアから解放され、長期的に安定したクリアな視界を手に入れることができます。

レンズの素材は安全?目の中で劣化しないの?

「目の中に異物を入れたままにしておくのは不安」と感じられるのは当然のことです。
しかし、ICLに使用されている「コラマー(Collamer)」という素材は、コラーゲンを含んだ特殊な親水性ポリマーです。生体適合性が非常に高く、人間の体(目)と非常に相性が良いという特徴を持っています。

そのため、目の中で異物反応(拒絶反応)を起こすことは極めて稀であり、レンズが目の中で曇ったり、劣化したりすることも基本的にはありません。半永久的に透明度を保ち、紫外線をカットする機能も備えている非常に優れた素材です。

ICLのメリット:多くの方に選ばれる理由

視力回復治療の中でも、現在ICLが特に人気を集めているのには明確な理由があります。日々の診療を通して感じる、ICLの主なメリットを4つご紹介いたします。

① 見え方の「質」が非常に高い

手術翌日の患者様が最も驚かれるのが、見え方の鮮やかさです。「ハイビジョン映像を見ているようだ」「普段のコンタクトレンズよりもくっきりと見える」とおっしゃる方が数多くいらっしゃいます。
レーシックのように角膜を削らないため、目本来の形状が保たれ、光の屈折が自然に行われます。その結果、コントラスト(明暗の差)がはっきりとした、質の高い見え方を実現できるのです。

② 「元の状態に戻せる」という圧倒的な安心感

これがレーシックとの最大の違いであり、ICLが選ばれる大きな理由です。
ICLはレンズを挿入しているだけですので、万が一将来的に視力が変化してレンズの交換が必要になった場合や、白内障などの目の病気で別の治療が必要になった場合には、レンズを取り出して元の目の状態に戻すことが可能です。この「可逆性(元に戻せること)」は、患者様にとって非常に大きな安心材料となります。

③ ドライアイになりにくい

レーシック手術では、角膜の表面を削る際に知覚神経をどうしても切断してしまうため、術後にドライアイの症状が出やすいという弱点があります。一方、ICLは角膜の端を約3mmだけ切開してレンズを挿入するため、神経へのダメージが最小限に抑えられます。
もともとコンタクトレンズの使用で目の乾燥に悩まされていた方にとって、ドライアイのリスクが低いことは大きなメリットと言えます。

④ 強度の近視や乱視、角膜が薄い方でも治療可能

レーシックは「角膜を削って」視力を調整するため、近視が強すぎる方(削る量が多くなる方)や、もともと角膜が薄い方は、安全性の観点から手術を受けることができません。
しかし、ICLは角膜を削らないため、強度の近視や乱視をお持ちの方でも問題なく受けることができます。むしろ、視力が悪ければ悪い方ほど、ICLによる生活の質の向上を強く実感していただけます。

POINT 2

ICL最大の強みは「角膜を削らないこと」です。クリアな視界、ドライアイになりにくい点、そして何より「いざとなればレンズを取り出せる」という安心感が魅力です。

ICLのデメリット・リスクについて

医療行為である以上、100%安全で完璧な手術というものは存在しません。検討される際は、デメリットやリスクについてもしっかりとご理解いただくことが重要です。

① 手術費用が高額である

ICLの最大のハードルと言えるのが費用です。ICLは自由診療(保険適用外)となるため、クリニックによって異なりますが、両眼で約40万〜70万円程度が相場となります。レーシックが20万〜40万円程度であることを考えると、初期費用は高額になります。
レンズ自体が海外(主にスイスなど)からのオーダーメイド製品であり、原価が高いことが主な理由ですが、ご自身の予算と照らし合わせて慎重にご検討いただく必要があります。

② ハロー・グレア現象が起こる可能性がある

術後、夜間に街灯や車のヘッドライトなどの光を見た際、光の周囲に輪がかかって見えたり(ハロー)、光がギラギラと眩しく散乱して見えたり(グレア)する現象が起こることがあります。
これはICLのレンズの構造上生じる現象で、特に手術直後から数ヶ月間は気になる方が多いです。多くの場合、時間の経過とともに脳が適応し、気にならなくなっていきますが、夜間の長距離運転を職業とされている方などは注意が必要です。

③ 感染症や合併症のリスク(ごく稀)

安全性の高い手術とはいえ、目の中にレンズを入れるために切開を行う以上、細菌が入り込んで感染症を起こすリスクはゼロではありません。
そのため、術後の点眼薬の徹底や、保護メガネの着用、決められた定期検診の受診は「必ず」守っていただく必要があります。トラブルを未然に防ぐためには、術後のケアが非常に重要となります。

レーシックとICLの比較

「レーシックとICL、自分にはどちらが合っているのだろう?」と悩まれる方は非常に多くいらっしゃいます。それぞれの特徴を分かりやすく比較表にまとめました。

比較ポイント ICL(眼内レンズ) レーシック
矯正の仕組み 目の中にレンズを挿入する 角膜(黒目)をエキシマレーザーで削る
可逆性(元に戻せるか) 可能(レンズを取り出せる) 不可(削った角膜は元に戻らない)
適応範囲 軽度〜最強度近視・乱視まで幅広く対応 軽度〜中等度(強すぎる近視は適応外)
ドライアイのリスク 少ない 術後数ヶ月は生じやすい
費用の相場(両眼) 約40万〜70万円 約20万〜40万円

結論といたしましては、「ご予算が許すのであれば、将来的な安全性や見え方の質を考慮し、ICLをおすすめする」というのが、現在の眼科医療における主流の考え方になりつつあります。

しかし、軽度の近視であり、角膜の厚みも十分にあり、費用を抑えたいという方であれば、実績が豊富なレーシックも素晴らしい選択肢の一つです。最終的には、ご自身の目の状態を精密検査で確認し、医師としっかりと相談した上で決定することが最も大切です。

POINT 3

どちらの治療法が適しているかは、ご自身の目のデータ(近視の強さ、角膜の厚さ、形状など)を測定しなければ判断できません。迷われている方は、まず適応検査を受診されることをおすすめいたします。

ICL手術の流れと術後の過ごし方

「目にメスを入れるなんて痛そう…」と不安を感じる方もいらっしゃるかと思いますが、手術自体は非常に短時間で終了します。一般的な流れをご紹介いたします。

  1. 適応検査(術前検査):
    ICL手術が受けられる目かどうか、角膜の形状や細胞の数などを数時間かけて精密に検査します。このデータを基に、患者様専用のレンズを海外に発注します。(乱視用レンズの場合などは、到着まで数ヶ月お待ちいただくこともございます。)
  2. 手術当日(点眼麻酔):
    目薬タイプの麻酔(点眼麻酔)を使用します。注射ではないため痛みはなく、この点眼だけで手術中の痛みはほとんど感じなくなります。
  3. 手術本番(両眼で約15〜20分):
    ベッドに仰向けになり、まぶたを固定します。顕微鏡の光を見つめていただいている間に、医師が角膜の端を約3mm切開し、筒状に丸めた柔らかいレンズを挿入します。目の中でレンズが広がり、正しい位置に固定されれば終了です。痛みというよりも、目を押されているような「圧迫感」を感じる程度です。
  4. リカバリー・帰宅:
    術後はクリニックのリカバリールームで1時間ほど休憩していただきます。眼圧(目の硬さ)などに異常がないことを医師が確認した後、その日のうちにご帰宅いただけます。(※当日は視界がぼやけるため、ご自身での車の運転は厳禁です。)

費用負担を軽減する「医療費控除」について

先述の通り、ICLの費用は40〜70万円程度と高額ですが、「医療費控除」の制度を活用することで、実質的な負担を軽減することが可能です。

医療費控除とは、ご自身や生計を一にするご家族のために、1年間(1月1日〜12月31日)に支払った医療費の合計が10万円(※総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えた場合、その超過分が所得から控除される制度です。
ICLの手術費用は、この医療費控除の対象となります。

例えば、手術に60万円かかった場合、確定申告を行うことで、ご自身の所得税率に応じて数万円から十数万円の税金が還付・減額される可能性があります。
クリニックが発行する領収書は再発行できないことが多いため、確定申告の時期まで大切に保管しておいてください。

ICLに向いている方・向いていない方

クリニックでの実務経験を踏まえ、どのような方にICLをおすすめしたいか、またどのような方には慎重になっていただきたいかをまとめました。

ICLを強くおすすめしたい方

  • 毎日のコンタクトレンズの着脱や洗浄、購入の手間から解放されたい方
  • 朝起きた瞬間からクリアな視界で生活したい方
  • 災害時など、メガネやコンタクトがない状況に不安を感じている方
  • 強度の近視や乱視があり、レーシックが不適合と言われた方
  • マリンスポーツやウィンタースポーツを裸眼でアクティブに楽しみたい方

ICLが受けられない、または慎重な検討が必要な方

  • 18歳未満の方: まだ眼球の成長や視力の変化が起こり得る年齢のため、原則として手術は受けられません(21歳以上を推奨するクリニックも多いです)。
  • 妊娠中・授乳中の方: ホルモンバランスの変化により視力が不安定になりやすいため、この時期の手術は避けていただきます。
  • 目の疾患がある方: 白内障、緑内障、網膜疾患などがある場合は、そちらの治療が優先されます。
  • 老眼の治療を目的としている方: ICLは近視・遠視・乱視を矯正するものであり、加齢に伴う老眼(ピント調節機能の低下)を治すものではありません。
POINT 4

ICLは「人生の時間を豊かにする投資」と言えます。今後数十年にわたってコンタクトレンズを購入し続ける費用や、毎日のケアに費やす時間を計算してみると、実はICLのほうがコストパフォーマンスに優れているケースが多々あります。

まとめ:まずは適応検査でご自身の目の状態を知ることから

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。ICLについての理解は深まりましたでしょうか。

「目の中を触る」と聞くとどうしても恐怖感が先行してしまうかもしれませんが、術後の翌日検診にお越しになった患者様の多くが、「もっと早く受けていればよかった!」「世界が変わったようです」と、大変晴れやかな笑顔でお話ししてくださいます。そのお姿を拝見することが、私たちクリニックスタッフにとっても大きな喜びです。

もちろん、決して安い費用ではありませんし、手術である以上リスクも存在します。だからこそ、インターネット上の情報だけで判断するのではなく、まずは専門のクリニックで行われている「無料適応検査」やカウンセリングへ足を運んでみてください。

ご自身の目がICLに適しているのか、実際の見え方はどうなるのか、経験豊富な医師やスタッフに直接ご相談いただき、ご納得いくまで質問していただくことが、後悔のない選択への第一歩となります。皆様の快適な「裸眼ライフ」の実現を、心より応援しております。

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